変形性膝関節症とグルコサミンの話

Knee4

 

軟骨の中のプロテオグリカンとは?

軟骨は、「コラーゲン」と「プロテオグリカン」と「水」でできています。
成分を少しみてみましょう。

 

<軟骨の仕組み>
水分
コラーゲン
プロテオグリカン
・グリコサミノグリカン
(その内80%…コンドロイチン硫酸)
(その他、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸)
・タンパク質
軟骨成分

 

コラーゲンは軟骨を強くする繊維なのでわかると思いますが、「プロテオグリカン」とは一体なんなのでしょう?

プロテオグリカンとは、多くの糖鎖が結合した糖たんぱく質の一種のことを言い、典型的なプロテオグリカンは一つの核となるたんぱく質に、一本、あるいは多数のグリコサミノグリカン鎖が結合しています。要は、プロテオグリカンとはグリコサミノグリカンというムコ多糖の1種とたんぱく質の複合体の状態なのです。
プロテオグリカンは、通常、動物の細胞表面などに存在しており、軟骨や皮膚中に多く存在しています。
軟骨の中のプロテオグリカンは水分を引き寄せて、保持する働きを持っているのです。
少し難しい話だと思いますが、
このプロテオグリカンが重要な役割をしているのです。

 

軟骨の内部では、
ヒアルロン酸の芯にタンパク質の枝がついています。そのタンパク質の枝に無数のコンドロイチン硫酸などの小さい枝(グリコサミノグリカン)が付着しているものが「プロテオグリカン」というものなのですね。
この細い枝の間に水分を引き寄せて、水分を保持することができるので、軟骨の80%は水分を含み、スポンジのような滑らかな動きができるのです。
健康な人のプロテオグリカンは、ヒアルロン酸のエキスをいっぱい吸って、水分がたっぷりのゼリー状をしています。これが、変形性関節症になると冬の木のように枯れた状態になってしまっているのです。

 

 

変形性膝関節症とグルコサミン

さて、よく名前を聞く「グルコサミン」についてですが…

グルコサミンはカニの甲羅、エビの殻等に含まれる成分で、人体でも合成しています。
軟骨成分の「プロテオグリカン」も体内で合成されますが、「プロテオグリカン」になる一つ手前の成分がグルコサミンというわけなのです。
人はアミノ酸と糖から長い工程を経て「プロテオグリカン」をつくりますから、軟骨が壊された時にすぐに合成が間に合うかというとそうでもなく、間に合うのは若い時だけといえます。そこで「プロテオグリカン」の一つ手前の成分であるグルコサミンを摂取して、最終工程は自分の力で「プロテオグリカン」をつくるということなのですね。

グルコサミンは、名前の初めにある「glucos」が示すように糖分と、「amine」が示すように窒素を含むアンモニアの副産物と水素が結合した物質で、天然のアミノ糖の一種です。
このようにグルコサミンにはブドウ糖が科学的についているため、糖尿病の方々には注意というメッセージをよくみかけますが、グルコサミンの摂取量は1回に多くても1500mg程度であり、そこに含まれるブドウ糖の影響よりも、痛みを我慢してストレスをかけ続ける方が、きついような気がしますね。

 

グルコサミンは軟骨組織に存在し、関節の働きにかかわっていることが知られており、人間では加齢とともに減少し、関節炎、関節痛を引き起こすと言われています。
また経口摂取によって,関節軟骨障害を修復することにより,症状の改善作用があると言われています。
グルコサミンの作用メカニズムに関して,以前は,経口摂取することで障害の修復が想定されていましたが,最近の研究では細胞内情報伝達機能を介した修復作用が想定されています。
しかし、まだ不明の点も多く、グルコサミンがそれ自体で軟骨の働きを担っているという研究報告もあれば、グルコサミンだけではなくMSM、コンドロイチン、ビタミン・ミネラルなどと一緒になってはじめて軟骨を形成するという報告もあります。

 

グルコサミンは人の体内では軟骨、腱、靭帯などに分布し、細胞や組織を結びつける役割を果たしています。
体内でも合成されるのですが、その量は40歳くらいから減少傾向になります。加えて特に関節の軟骨は、加齢や肥満に伴ってすり減ったり酷使されるため、中高年以上は合成が減少に追いつかなくなります。
そうすると、腰や膝の違和感や痛みが現れたり、進行すれば関節痛や変形性関節症につながる可能性も高くなります。
もちろん、若くても、関節を酷使するような激しいスポーツを継続している場合は同様ですが・・・。

これらの症状は、初期〜中期の段階であれば、グルコサミンを経口投与することにより予防、改善されます。
研究でも初期〜中期の方が効果が高い報告があるのですね。しかしそれ以外の症状、外科的に軟骨が切除された患者の軟骨再形成や狼瘡、慢性関節リウマチのような関節に関る自己免疫疾患に対する有効性評価については現在までに有効な報告はされていません。

 

抗炎症作用を持つ医薬品のイブプロフェンなどに比べ抗炎症作用は低く、鎮痛作用についても弱いことがわかっていますが、副作用がほとんどないことを考えると、グルコサミンの有益性はおおいにあると言えるでしょう^^。
なお、有効性を高めるには、やはり軟骨成分であるコンドロイチンを併せて摂取することが良いと思います。
ムコ多糖類の一種であるコンドロイチンには、軟骨の保水性や弾力性を高める作用があります。
これらの成分が相乗的に威力を発揮すれば、より効果的に関節痛や腰痛、変形性関節症を予防、改善することができるかもしれません。

カイロプラティカでは、グルコサミンとコンドロイチンを両方摂るのか、グルコサミンだけで良いのか、また非変性Ⅱ型コラーゲンを摂ってもらうのか、アメリカの方で主流のMSMを摂取してもらうかなど、その方の状態に合わせてサプリメントをお勧めさせて頂いています。
お困りの方は一度ご相談くださいね。

 

次回は、あまり知られていないコンドロイチンの事実についてです。
お楽しみに〜^^。

 

 

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