胃酸分泌低下で栄養素が吸収されない!?

 

栄養素が吸収されない!?

胃酸が低下していると、栄養素の吸収率が下がります。
これはみなさん気づいていないことですが、実は深刻な問題なのです。

ずっと鉄のサプリメントをとり続けているのに改善がみられない鉄欠乏性貧血の人の場合で、適切な量の塩酸サプリメントをとることで血中成分の測定値が正常に戻ることがあります。
これはよくみられることで、鉄の吸収不良には、胃酸の不足が関わっているからなのです。

さらにレントゲン検査で骨組織が失われている人で、カルシウムを補給しても状況が改善されないケースも往々にしてありますが、この場合も、塩酸サプリメントによって胃酸を補ってあげるとカルシウムが活用されやすくなり、レントゲンで回復傾向が認められるようになります。

胃酸と栄養素吸収の状態をよくしてあげることが何よりも大事なことがよくわかりますね。

 

 

このように胃酸の分泌が十分でない人の場合、栄養素の吸収が妨げられるので、塩酸のサプリメント同様、ビタミン類のサプリメントの必要性は非常に高まります。
しかし、通常はそんなに大量のサプリメントを毎日飲んだり出来ないのが、現実です。

 

栄養療法のDr.Whightは、胃液の不足している患者さんで最も切実に必要としている栄養素の一つはビタミンB12であるとしています。
そして、胃液の不足と診断された患者さんには、ビタミンB12(1,000mg)と葉酸(2.5mg)を週に1、2回注射して、それだけで多くの方が、眠りが深くなる、頭の回転がよくなる、エネルギーが高まる、気持ちが落ち着く、などの変化が実感できるようになるそうです。
また関節炎の痛みですらなくなる患者さんもいるそう。

とくにビタミンB12でなぜこれだけの効果があるのかについては、科学的な根拠があります。
またそれは、なぜ胃酸分泌低下の患者にビタミンB12を注射で与えるのか、そして経口でとっても思うような効果が上がらないのかという疑問の答えにもなります。

胃の内壁をつくっている細胞は、塩酸を分泌していますが、同じ細胞から「内因子」と呼ばれる成分も分泌されています。ビタミンB12はこの内因子と結合しなくては、小腸から吸収されないのです。
胃の内壁の細胞が正常に機能しなくなり、塩酸や内因子の分泌が少なくなったり、停止したりしているときには、食品や錠剤のかたちでビタミンB12を口からとっても、身体の中に満足に吸収されないのですね。

 

ビタミンB12は吸収過程が特殊なので、胃液の分泌の状態がとくに影響を及ぼす栄養素でもあります。
またビタミンB12の欠乏による身体の症状も多岐にわたります。

 

今回、例としてビタミンB12をあげましたが、
胃液不足で吸収が低下する栄養素は・・・

<ミネラル>
鉄・カルシウム・マグネシウム・亜鉛・銅

<ビタミン>
葉酸、B12、B6、A、E、B1、B2、B3など

があります。

 

このようにみていくと、胃酸がどれだけ身体に重要な存在か、それによる栄養素吸収率の低下が身体にどれほど悪影響を及ぼすか、想像できたのではないでしょうか。

 

 

塩酸サプリメント

もちろん胃の不調に対して、食事を改善していくことやストレスを減らすことで大幅に改善はできますが、胃酸分泌が低下している人が抱える問題に対しては、サプリメントも非常に効果的で大きな助けになります。

とくにアメリカの栄養療法では、胃酸を必要とする人に対して「塩酸ベタイン」のような胃酸を増加させることができるサプリメントは、非常によく使われます。適切な塩酸サプリメントをとってもらうと、著しく健康状態が改善するのです。
アメリカでは、血液検査と同じくらい日常的に胃酸の濃度が調べられており、胃液を補充する「塩酸ベタインとペプシン」は最も汎用性が高く、使って実感できるサプリメントと言われているそうです。
例えば、胃酸が胃を刺激することで、膵臓やその他の消化酵素が小腸に出ますが、適当な胃酸がなければ小腸の機能が正常に働くことは困難になってしまいます。これにより栄養吸収が低下してしまうほかに、胃酸の酸と結びつくことによって吸収される栄養素も多々あるので、胃酸の低下により栄養吸収不良が起こることはおおいにあり得るのです。

 

 

塩酸サプリメントは、日本ではすぐに手に入らないかもしれませんが、アメリカでは一般的です。
日本ではインターネットで注文したりしても手に入ると思います。
アメリカで市販されている塩酸サプリメントは、たいていはベタインやグルタミン酸などの「運び屋」と塩酸が結合したフォームになっています。
こうして結合させておかないと、塩酸をカプセルや錠剤にすることができないのです。一般的に勧められる塩酸サプリメントは、「塩酸ベタイン+ペプシン」や「塩酸グルタミン+ペプシン」です。

塩酸ベタインは天然産物で、実際に乾燥した塩酸の塩ですが、飲みこむとそのまま胃酸と同じものに変わります。

 

多くの胃酸分泌低下の患者さんにとって、この塩を食事中に摂取することで、腸の機能を取り戻すことが可能になります。
また塩酸サプリメントの使用で、胃や腸での消化、吸収機能が改善され、栄養素の欠乏状態が好転し始めるケースは多々あります。そして人によっては(とくに高齢者)、長期間の塩酸ベタインが必要になるケースもあるでしょう。

 

アメリカでは、塩酸ベタインやペプシンだけでなく、膵臓や腸における消化酵素を含んだマルチ消化酵素のようなサプリメントもたくさん売られています。しかし、通常であれば、胃酸は腸を刺激して膵臓酵素を産生させるので、まずは塩酸ベタインがファーストチョイスになるかもしれませんね。

それだけ胃酸は消化にとって中心的存在ということです。

また摂る場合は、塩酸単独のサプリメントよりは、ペプシンとのセットで摂る方が効果的です。

 

今月は当院でもこの「塩酸ベタイン」のサプリメントを少量お配りしておりますので、興味のある方は試してみてくださいね。「塩酸ベタイン」を摂ることでいつもより、栄養の吸収がスムーズになり、体調が改善するかもしれませんよ〜。

ではまた、次回をお楽しみに〜

 

 

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