同じような食生活をしていても低血糖症になる人とならない人がいます。
つまり、低血糖症になりやすい人と、なりにくい人がいるということなのです。

 

脂質代謝研究で有名な、アメリカのバリー・シアーズ博士によると、全人口の25%の人は炭水化物に「非常に敏感」で、いつでも炭水化物に過剰なインスリン反応を起こすといいます。そして別の25%の人は、その逆で、精製された炭水化物を食べてもインスリンが過剰に分泌されることはなく、それによって低血糖症になることも、肥満になることもないそうです。
残りの50%は両者の中間であり、一部の人は炭水化物に対して正常な反応を示すけれども、人によっては(または炭水化物の質によっては)インスリンのレベルを上昇させることがあるということです。さて、このことからわかるのは、人口の半分以上の人たちは糖分のとり方に気をつける必要がある、ということです。そう考えると、現代人に低血糖症状に悩まされ、具合が悪くなっている人が多いということも納得できると思います。

 

またエネルギーの代謝タイプによっても低血糖になりやすい、なりにくい人がいます。
一般的にたんぱく質を燃やしてエネルギーを作ることが得意な人は、糖の燃焼速度の速いタイプ(Fast Oxidizer)なので、低血糖になりやすく、日本人に多い(70%くらい)タンパク質と炭水化物代謝の中間、ミックスタイプの人でも炭水化物傾向の食事になりやすい人ほど、血糖のコントロールが難しく低血糖になりやすいと言われています。
このように考えていくと、低血糖症はあまり知られていない病気ですが、潜在患者数は相当数に上ると思います。それもそう、アメリカでは2000万人~4000万人の患者さんがいると言われるくらいなのです。
また2006年の心身医学会の発表では、治療開始後2年以上経過しても月1回以上のパニック発作が出現するパニック障害患者のうち、問診で低血糖症が疑われた20名(女性15名、男性5名)のうち19名が、5時間の糖負荷試験で低血糖症であると診断されたそうです。

 

当院でカイロプラクティックの検査をしていても、自分で低血糖症だと気づいていない方も多くいます。また医療機関で自律神経失調症や精神障害などと誤診されているケースも多いので、隠れ低血糖症はすごい数になると思います。 

 

さて、低血糖症の一番の原因は「精製された糖質の長期にわたる過剰摂取」をしているということですが、こういうものを食べ続ければ、誰でも低血糖症になるのかと言うとそうではありません。もちろん確実に体調は良くないと思いますが・・・。

 

低血糖症は、後天的な要因(糖質の多い食生活、不規則な生活、ストレスなど)のほかに先天的な要因がある人の方が発症しやすいといえます。たとえば、同じ食生活をしている人を比べた場合、ご家族や血縁の方に糖尿病がある人の方がよりインスリン過剰になりやすく低血糖症が起こる可能性が高いのです。低血糖症になりやすいかどうかは、遺伝的な体質も強く関係しています。生まれながらに副腎が弱いというのも低血糖症を発症しやすい要因になります。
また同じように低血糖になっても、体内環境が違えば必ずしも症状を起こすとは限らないのですね。血糖が急激に下がっても、十分に栄養が足りていて、それに対応できるような副腎機能や自律神経の働きがあれば、症状は起きないのです。