低血糖症に対する食事の摂り方

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低血糖の症状を改善するのに、食事は一番重要な治療になります。
低血糖症を治す薬は存在しません。
低血糖症にとっての薬は「食べ物」です。つまり「なにを食べるか」が、薬を飲むこと以上に大切だ、ということです。

低血糖症の改善を得るためには、適切な食べ物の摂取が重要なのですね。

さて、その食事指導ですが、先生によって違う場合があります。頻繁な食物摂取を勧める人もいれば、頻繁な食物摂取を回避することを勧める人もいます。また高タンパク質、低炭水化物摂取が勧められるケースと複合多糖類、低タンパク質摂取が勧められるケースもあります。一般に高タンパク質摂取は、新糖生による一定のグルコース供給源となり、合理的とみられていますが、人によってはタンパク質も摂りすぎるとインスリン放出を刺激する可能性があるため逆効果になることもあります。
また低血糖症の食事は、野菜が多くなり、カリウム摂取量が増加する場合があります。もし副腎機能低下症の合併がある場合は、カリウムレベルが既に高い状態なので、カリウムがさらに増加することは、患者さんの過敏反応を促すことになってしまうので、量には注意しなければなりません。
ちょっと難しい話ですよね。

今日は、私が書いているThink Healthのblogでも一番人気の記事でもある「低血糖症に対する食事の摂り方」をご紹介しましょう。

 

 

GI値の低い食品を食べる

低血糖症の治療においてまず一番大切なことは、言うまでもなく「血糖値を安定させる」ことです。
低血糖症の食事療法には大きくわけて2つのポイントがあります。

1.GI値の低い食品を食べる
2.食事の回数を多くする

 

まずは、「GIの低い食品を食べる」ということについて・・・。

血糖値が急激に上がってしまうものを食べることが、低血糖を起こす原因ですから、血糖値を上げる食べ物は避け、血糖値を上げにくい食べ物を食べることが治療になります。
単純にいうと、血糖値を上げる食べ物は「糖分」だけです。
つまり、低血糖症の食事療法の基本原則は「糖分を控える」ということです。
このような食事療法では、砂糖摂取量の調整が最も効果的になります。

そこで食べ物を選ぶときの参考になるのが、GI(グリセミック・インデックス)です。
GIとは、「血糖値の上がりやすさ」を意味する数値です。GIが高い食品は、血糖値を急激に上昇させるため、インスリンが多く分泌され、結果的に低血糖を起こします。
逆にGIの低い食品は、インスリンを出しにくいため、低血糖を起こしにくい食品です。

 

ということは砂糖やブドウ糖果糖液糖、また白米や白パンなどの精製された炭水化物は高GIであり、血糖値を急激に上げ結果的に血糖値を下げてしまう、低血糖症にはよくない食品ということになります。
またブドウ糖を使った加工食品が多く販売されていますが、単糖類のブドウ糖は二糖類の砂糖よりもさらに分子が小さいため、砂糖よりも急激に血糖値を上昇させてしまいます。
低血糖症の人にとっては、「砂糖よりも悪い」食品になりますね。

あまいお菓子や飲み物や、スナック菓子、砂糖やブドウ糖果糖液糖が入った食品や料理
白米や白パンなどの精製された穀物、などは低血糖症の人には完全アウトです。
低血糖症で勧められることがあるHarris Dietで禁止されている食べ物をあげておきましょう。

 

精製された炭水化物:
砂糖、キャンディー、コーラ、パイ、パスタ、カスタード、プリン、アイスクリームなど

高炭水化物食物:
ジャガイモ、米、スパゲティー、マカロニ、麺類、グレープ、レーズン、プラム、イチジク、ナツメヤシ、バナナ、ドライフルーツ

カフェイン:
コーヒー、醸造された紅茶、他のカフェインを含む飲み物

アルコール類:
ワイン、カクテル、ビール

また、特に落とし穴なのが、加工品や調味料だと思います。
加工食品や調味料の多くには、味をよくするために砂糖やブドウ糖果糖液糖が入っています。そして砂糖が添加されている食品の多くには、添加物もつかわれていることが多いものです。血糖値を維持するため、もちろん健康を維持するためには、これらの食品はなるべく避けてくださいね。
またお店で売られているお惣菜などにも、一見あまくないように見えても隠し味で砂糖がつかわれていることがあり、注意が必要です。

要はなるべく自然に近い新鮮な食材を、シンプルに調理して食べるということが良いのです。

 

さて逆に低GI食品には何があるでしょう?


魚介類

大豆製品
野菜
海藻
きのこ
くだもの
ナッツ
・ ・・こんなものがあります。

 

楽しんで食事をするためにも、季節の食材をつかって、素材そのもののおいしさを味わって食べるようにするとよいでしょう。体にいいものは本来おいしいものなので、炭水化物の少ない食事でも十分に楽しんで食べることができます。

また玄米や全粒粉のパンなどの全粒穀物は、未精製で食物繊維が多く含まれているため、GI値も低く、低血糖を起こしにくい炭水化物です。
しかし、これらの未精製の炭水化物も、糖分である以上、低血糖を起こす人は起こしてしまいます。
また少量なら低血糖にならないけれども、たくさん食べると低血糖になる、という人もいます。また体格や筋肉の量、運動をどのくらいするかによっても、必要な炭水化物の量や種類は変わってきます。
どんな炭水化物をどのくらい食べたら低血糖になるのかは、個人差がかなりあるということですね。

 

低血糖の食事は、簡単にいうと、「あまいものはやめ、主食を減らしておかずを中心とした食事にする」ということ!なのです。

また食べ方によっても血糖をあまりあげない食べ方もあります。
それは、まずおかずをしっかり食べた後に、玄米や全粒粉のパンといった低GIの炭水化物を少量食べるというものです。
先におかずを食べるのは、空きっ腹に炭水化物を食べると、血糖値が上がりやすくなってしまうからです。
先に野菜などをしっかり食べておくと食物繊維がプラスされるので、消化のスピードがゆっくりになり、血糖値が急激に上がるのが抑えられます。食物繊維は、血糖値が急激に上がるのを防ぐ防波堤のような働きをするのですね。
緑黄色野菜や根菜類などの野菜、海藻、きのこ、豆類など、食物繊維が豊富な食べ物を積極的に食べるようにしましょう。

また同じ量の炭水化物でも、ある程度脂肪分を含んだものや、繊維質のものと一緒に食べると、血糖値の上昇がゆっくりになります。

ちなみに気をつけなければいけないのは、「炭水化物オンリー」の食事。
これは一番やってはいけない食事になります。
炭水化物オンリーだと、血糖値が上がりやすく、低血糖を起こしやすくなってしまいます。

たとえばおにぎりだけとか、丼とうどんのセットとかは最悪ということですね〜。

食事の組み立て方として、炭水化物単品ではなく、まず必ず「メインディッシュ」としてたんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品など)をしっかり食べ、あわせて食物繊維やファイトケミカルが豊富な野菜などのおかずをたっぷり食べるということを心掛けましょう。それらをしっかり食べたあとに、未精製の炭水化物を少量食べるというイメージです。

 

糖分にかなり敏感な人は、炭水化物を一切とらないという食事法が必要になる場合もあります。糖分がなくなってしまうと心配する人もいると思いますが、いわゆる炭水化物と呼ばれるもの以外の食品にも糖分はある程度含まれていますし、人間の体はアミノ酸や脂肪酸などをグルコースに変えることができます。また長期に糖質を制限すると、脳は脂肪が燃焼されたケトン体を利用して脳のエネルギーを補給するようになります。
ただ、これは極端な例で、長期的にはその人なりの、バランスを考えていって必要であれば炭水化物も摂っていくべきでしょう。

治療中は一切糖分をとらないほうが、調子が良い患者さんでも、一生食べてはいけないのかというとそうではなく、栄養療法や食事療法によって糖代謝が改善すると、食べても低血糖を起こしにくくなり、症状が出にくくなってきます。
運動を積極的におこなうことや、筋肉量を増やしていくことも、血糖値の安定につながるでしょう。
私がお勧めなのは、足腰を少し鍛えてあげるということ。
足腰は、普段の歩行や立っている状態でも常に使っているので、基礎代謝があがりやすい部分でもあります。基礎代謝があがれば、血糖もあがりずらくなりますし、身体も疲れにくくなります。

もちろん個人差もありますし、改善したとしてもあまいものや精製された炭水化物を大量に食べたりすると症状が出ることが多いので、なるべく控えた方がよいのは言うまでもありません。
もしある炭水化物を食べた後に眠くなったり、だるくなったり、またはふだん悩まされている症状が出るようだったら、量が多いか、もしくはその穀物が体に合わないということになります。

 

 

食事の回数を多くする

さて次に「食事の回数を多くする」ということについて・・・。

常識的にいうと食事の回数は1日3回ですが、低血糖症の場合、1日3回の食事では食事と食事の間隔が長いため、低血糖を起こしてしまいます。これを防ぐためには、食事と食事の間隔を短くすることが必要です。
たとえば、1回の食事の量を半分にして、1日6食にわけて食べる、としても良いですし、3食の食事をとって、合間に間食を入れていくという方法でも良いです。

とにかく重要なのは、お腹をすかせないということです。

多くの患者さんでもっとも血糖値が低くなる時間帯は、食事をしてからだいたい4時間後です。
アドレナリン・ノルアドレナリンは、血糖値が下がりきってから分泌されるのではなく、実際には下がりはじめたときから分泌がはじまります。
食事から4時間たって、「お腹すいた!」と思ったときにはすでに、これらのホルモンは分泌されてしまっているのです。

 

これらのホルモンによる症状を防ぐためには、血糖値が下がりきる前に、なにかを食べることが必要です。そうすることで、血糖値が下がりすぎることと、血糖値を上げるホルモンの異常な分泌を防ぐことができるのです。

とくに過食症の人は、低血糖の時間が長いほど、そのあとの過食を起こしやすくなります。また、低血糖の症状が出やすいのは午後、とくに夕方と言われています。
症状が出やすい人は、昼食から夕食の間に、2回くらい間食をとっても良いでしょう。

 

おすすめの間食は・・・

ナッツ類(くるみ、アーモンド、カシューナッツなど)
種類(ひまわりの種、かぼちゃの種)
ゆで卵
炒り大豆
テンペ
煮干し
ちりめんじゃこ
野菜スティック
枝豆

またたんぱく質は、食事からとれていそうでなかなか十分にはとれにくいため、おやつとしてとるのもいい方法です。
注意した方が良いのは、加工食品は原材料表示を見て、砂糖やブドウ糖果糖液糖が入っていないものを選ぶこと、またナッツ類は食べ過ぎに注意することなどです。

簡単に食べることができ、血糖値の安定につながる食品のバリエーションを多く持っているととても役にたちます。

 

また血糖は眠っている間に使われてしまうので、朝は血糖値がもっとも下がりやすい時間帯とも言えます。
朝の低血糖を補正するために、朝食は必ず食べるようにすることが大切です。
多くの低血糖症の患者さんは、朝食を食べずにいると、朝の低血糖の影響をそのまま引きずり、その日一日具合が悪い状態で過ごすことになります。
時間がなくても食欲がなくても、必ずなにかを食べるようにすることが重要です。

このときもたんぱく質と野菜を中心にすると良いでしょう。

 

低血糖症の人は、エネルギーをうまく作ることができないために、疲れやすく、テンションが低い人が多いです。このような人は、手っ取り早くテンションを上げるために、刺激があるものをほしがることが多いのです。たとえばカフェインやアルコール、タバコ、ひいては麻薬や覚せい剤などの薬物を欲する人さえいます。

これらの多くは、アドレナリンなどの興奮性の物質を分泌させたり、抑制系の神経を麻痺させます。
そのため確かに一時的にハイテンションになりますが、これはあくまでその場しのぎに過ぎません。すぐに効果がキレて、またテンションを上げるためにこれらのものがほしくなります。

低血糖の人は、これらのものの依存症になることが多いのです。しかし、これを続けると、解毒のために肝臓に負担がかかったり、副腎が十分にホルモンを分泌することができなくなる「副腎疲労」と呼ばれる状態におちいったりしてしまうのですね。

とくにカフェインは要注意ですよ。
カフェインの摂取は、チョコレート、ココア、コーヒー、コーラ、紅茶などですが、低血糖症の人はこういった刺激物を望むケースが多々あります。
またこれらをやめさせることが困難なことも多いのです。

 

最後に・・・
食事から、糖類やカフェイン、更に他の刺激物を排除することは、アルコール中毒者にアルコール摂取をやめさせるほど困難なことがあります。
これは、私も臨床で痛感していることです。
「アルコール中毒」と「砂糖中毒」には大きな共通点があり、カフェインも同じです。

ある実験を紹介しましょう。

ラットを使った実験ですが、ラットは学習反応によって糖類での趣向を発達させます。一度糖類や不適切な食べ物の摂取をさせると、死に至るまでそれらの摂取を続けます。Williamsは、不適切な食物を与えられたラットは、糖類を選択する割合が多く、逆に途中からでも適切な食べ物が与えられた場合は、糖類に対する学習反応は低下し、糖類摂取量も減ると報告しています。また更には、初めから適切な食べ物を与えた場合、糖類の高い食物への要求は低いといいます。その場合、ラットは正常な体重のまま生き延びます。

糖類を一度食べると麻薬のようにはまっていってしまう様が、実験でも良く分かりますね。

 

通常「砂糖中毒」になっている人に対して、食事制限をした際に、人によっては頭痛や震えが起こってくる場合があります。これはいわゆる禁断症状のようなものですが、ここでアルコールや糖類を摂ってしまうとまた繰り返しになってしまうので、注意しなければなりません。
人によっては、このような症状が出現すると食事制限が間違っているのでは?と感じたりすることもあると思いますが、糖類や炭水化物にかなり過敏になっている場合、それらを摂らないと一時的にこういった頭痛や震え、エネルギー不足の状態が起こります。
それが起こったらなるべく、間食でおすすめしたようなナッツやタンパク質類を摂るようにしてください。何日かすると症状が出なくなりますので。
ここで負けてはまた繰り返しになります。

アルコール中毒の人も、アルコール摂取制限をすると、頭痛や震えが起こります。これらの症状はアルコール類を摂取することで緩解しますが、これは最も避けなければならないことなのですね。糖類摂取制限についても同じことが言えるわけです。

 

 

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 CHIROPRATICA|低血糖症と副腎疲労のためのカイロプラクティックと栄養療法

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