体内時計とメラトニン

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人間の体内時計

地球上の生物は地球の昼と夜という性質の異なる1日に、適応して生きています。
人間の身体は25時間周期と言われており、それを1日24時間に1時間のズレを合わせて生きているのです。
そして、「不眠」の人はまさにこの調節がうまくできていない人と言えます。

 

さてこの1時間のズレを人間はどのように調節しているのでしょう。

それには、朝起きた時の朝日を浴びるという行為が非常に重要な意味を持っています。
朝になり、まぶたの上からでも光が入ってくると、その情報が脳の視床下部という中枢に届き、松果体から出ているメラトニンという物質が時間のリセットを行ってくれます。
太陽の光を浴びることにより、体内のメラトニンの量が一気に減少します。
メラトニンの量が減少すると、脳が睡眠状態から覚醒状態へと切り替わると言われます。
このようにメラトニンというホルモンが関わって、ヒトは体内時計をリセットしているのです。

 

 

睡眠ホルモン「メラトニン」

なお、通常メラトニンは、暗くなると分泌される睡眠ホルモン。夜21時に分泌され、夜中の3時にピークになりますが、その時のメラトニンは睡眠ホルモンとして眠りを誘うホルモンの役割をしています。自然な眠りを誘い、活動と休息のリズムをコントロールするホルモンとも言われているのはこのせいですね。

さてでは、太陽の光を浴びなかった場合はどうなるでしょう。
実は太陽光を浴びなくても、メラトニンの分泌は朝の8時に自然に停止しますが、まだメラトニンが分泌している朝5時くらい〜8時くらいまでの間に起きないと体内時計が正しくリセットできず、昼間のメラトニン量をしっかり抑制できません。その結果、日中も脳は夜のままでだるさや眠さが残ってしまいます。
寝過ぎは逆に眠くなるというのはこういったわけなのですね。

 

このように、メラトニンを充分に生成するには、朝日をたっぷり浴びることが大切。
朝日を浴びると、体内時計が正しくリセットされ、メラトニンの昼間の量が抑制されることで、逆に夜にはしっかりとメラトニンが分泌されるということなのです。
メラトニンは睡眠を調節するホルモンですが、夜に寝て朝に起きるという規則正しい睡眠が、メラトニンの正常な分泌を促すと言えるのですね^^。

 

 

ちなみに朝の光は、蛍光灯の光でもいいかというとそうではなく、光の単位で2,500ルックス以上の明るさに反応して時間のリセットが起こるとされています。室内の明かりだと平均200〜300ルックス、多くても500ルックスなので、時間のリセットには全然足りません。日の光だと、晴天時50,000ルックス、曇りでも10,000ルックスあるので、やはり朝リズムを作るには日の光を浴びなければいけないということですね。

不眠の人で多くみられるのは、この日の光を浴びていないということです。ほとんどの方が、遮光カーテンをしっかりしめて、布団にもぐりこんで寝ているのではないでしょうか?
健康的に目覚めて体内時計をリセットさせるには、カーテンを開けた状態にして眠り、自然な朝日で目覚めるというのが一番良いのです。

 

TVやパソコンの青い光は、日中の晴天時くらいのルックスがあるので、夜にパソコンをやったり、携帯をいじっているとなかなか寝れないということにもなりがちです。
パソコンやTVは、できれば夜は見ない方が良いでしょう。

余談ですが、海外を行き来する飛行機で働いている人は、自然のメラトニン分泌を利用できないので、体外からメラトニンを摂取して体内時計を合わせているそうです。

 

 

睡眠中に分泌されるホルモン

今日はメラトニンの話を中心にしてきましたが、私たちのカラダでは、睡眠中にメラトニン以外にも様々なホルモンが働いています。
最後にそのことに少し触れておきますね。

メラトニン以外のホルモンとしては、主に成長期の子供の筋肉や骨つくり、大人の疲労回復、肌の健康にも重要な役割を担う「成長ホルモン」や、ストレスに負けない状態をつくる「コルチゾール」などがあります。

傷ついた細胞を修復して新しい細胞をつくる成長ホルモンは、疲労回復と若さの維持にかかわるホルモンとして知られていますが、その分泌量は年々減っていきます。睡眠不足だと肌が荒れるのは、成長ホルモンが十分に分泌されず、肌の新陳代謝がスムーズに行われないためです。

またコルチゾールの分泌が低下すればストレスを感じやすくなります。
他にも新陳代謝や免疫力にかかわる重要なホルモンが睡眠中に分泌されていて、1つとして欠かすことができません。

 

ちなみに睡眠不足だと食欲が増して太りやすくなるのは、食欲抑制ホルモン「レプチン」の分泌が低下するためと言われています。 少し長くなりましたが、それだけ睡眠が十分でないと思考力、判断力、免疫力などあらゆる機能が低下してしまうのです。

 

 

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