本当の意味でのアンチエイジングとは?「糖化」

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糖尿病では、特に「糖化反応」が大きな問題を起こします。
最近TVでも健康番組などで「糖化予防」「糖化抑制」という言葉が流れているので、知っている方も多いかと思いますが、「糖化」は酸化と同じく老化に関わっているとして、近年注目を集めています。
今日はそんな「糖化」の話。

 

 

糖化の話

人間の身体を構成しているタンパク質とブドウ糖が結合する現象を糖化と呼びます。この糖化では、メイラード反応という現象が起こるのですが、これは日常生活でも目にすると思います。例えば、リンゴを長時間おくと茶色に変色したり、ホットケーキが茶色になったり、サンマの焦げ、プリンのキャラメル部分、オニオングラタンの茶色も全てメイラード反応によるものです。血糖値が高い状態が慢性的に続くと、糖化される身体のタンパク質も増加していきます。身体の中でこのメイラード反応が起こっていると思ったら怖くありませんか?

 

実はこの糖化により、それぞれのタンパク質の正常な働きが失われ、これが糖尿病や老化につながると考えられています。タンパク質が糖化して最終的に出来る最終糖化産物がAGEsと呼ばれるものですが、糖尿病はまさにこのAGEsが溢れている状態です。糖尿病における手足の痺れや眼底出血、末梢神経が働かなくなったり、細胞壁がダメになったり、血管が詰まる、歯槽膿漏も全ては、糖化の成れの果てと言えるでしょう。1960年に糖化の代表的生成物としてヘモグロビンA1cが血糖コントロール指標として用いられるようになるとともに、この10年程の間に糖化は、糖尿病だけでなく、老化現象、認知症、ガン、心臓病にも関わると言われるようになりました。

 

糖質過剰の食生活をしていると、インスリンへの抵抗性を持ち始め、2型糖尿病に近づきますが、そうなると、血中のグルコース(糖)のコントロールがうまくできなくなります。血液中を慢性的に高い濃度の糖が流れることは危険です。それは酸化ストレスも高くなることはもちろん、糖化が起こりやすくなることにつながるのです。
糖化を防ぐには、もちろん食事が大切ですが、糖もタンパク質も人間にとって大事な栄養なので、どちらかを極端に制限するということではなく、その人の年齢、性別、仕事、環境にあった食生活(主に糖質、タンパク質、脂質の栄養バランス)が重要になってくるのは言うまでもないでしょう。

これからの時代、本当の意味でのアンチエイジングとは、Anti-Aging老化抑制はもちろんなのですが、Anti-AGEing糖化抑制を考えることこそ必要かもしれません。

 

 

糖尿病の合併症

さて、そんなAGEsが溢れている糖尿病の合併症についても少し触れておきましょう。
前回もお話したように現代は、4人に1人が糖尿病と言われる時代ですが、困ったことに治療を受けていない人がとても多いそうです。その理由は、血糖値が高く、糖尿病を強く疑われる状態でも、自覚症状があまりない病気のため、治療を受けないことがどうしても多くなりがちだからです。
しかし、症状が出なくても、糖尿病は徐々に進行し、恐ろしい合併症を引き起こします。

 

糖尿病の主な合併症は・・・

糖尿病網膜症  → (悪化すると・・・)失明
糖尿病腎症   → (悪化すると・・・)人工透析
糖尿病神経障害 → (悪化すると・・・)壊疽による足の切断
動脈硬化    → (悪化すると・・・)脳梗塞、心筋梗塞
歯周病     → (悪化すると・・・)歯の喪失

 

糖尿病の合併症の多くが血管障害と関連しているため、「糖尿病は血管の病気である」とさえ言われています。糖尿病の三大合併症(網膜症、末梢神経障害、腎症)は主に高血糖の状態が続くことによって、毛細血管のなどの非常に細い血管に障害が生ずることで起こるため、最小血管障害とも呼ばれています。
上記で述べた「糖化」も血管細胞や細胞内のタンパク質異常を作りだし、、最小血管障害の一因となりますが、もう1つ血液中のブドウ糖がソルビトールに変わることも合併症の引き金と言われています。

 

血液中のブドウ糖の量が増え続けると血管を構成している細胞の中で「アルドースリダクターゼ(還元酵素)」が働き出します。これはブドウ糖をソルビトールに変える働きをする酵素です。血糖値が正常なときにはソルビトールがもしできても果糖に変えられて細胞外に出されますが、高血糖状態が続くと次々にソルビトールが作られ、処理しきれなくなり、血管細胞(特に細小血管を構成する内皮細胞)内にソルビトールが増え、それを薄めるために浸透圧によって細胞内に水が入ってきます。
その結果、血管細胞内は水ぶくれ状態になり、細小血管に障害がおきてくるわけです。全身の中でもとくに腎臓、目の網膜、神経にアルドース還元酵素が多いので細小血管障害として合併症が現れやすいと言われています。

 

これらの最小血管障害は、糖尿病を発症してからの経過が長いほど起こりやすくなります。またヘモグロビンA1cの値が8.0%以上になると悪化しやすくなります。一方大血管障害(虚血性心疾患、脳卒中、閉塞性動脈硬化症)の発症には、血糖値だけでなく脂質異常症、高血圧、肥満、喫煙などの関わりも大きいことがわかっています。
こういった危険因子が多くなればなるほど、動脈硬化が進み、大血管障害が起こりやすくなります。危険因子が多い場合には、糖尿病を発症して間もない時期、糖尿病予備軍の時期であったとしても大血管障害が起こることがあるので注意が必要です。

 

 

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