副腎疲労が起こると腸内環境が悪化します。
それの1つが「カンジダ菌症」です。

 

カンジダ菌は空気中、食物だけでなく、人間の口から肛門にいたる消化管に存在する常在菌です。
カンジダ菌の種類は多いのですが、カンジダ菌症を引き起こす主要な菌種はカンジダアルビカンスです。日本の病院では、カンジダ菌症と言えば、婦人科で扱われる「膣カンジダ症」や「口腔カンジダ症」などがメジャーですが、カンジダ菌が小腸で繁殖することも多く、その症状は多岐にわたります。

カンジダ菌の繁殖を助長してしまう要素としては、副腎機能の低下以外にも、高炭水化物(糖分)の過剰摂取、腸内細菌のバランスの乱れや乳酸菌の低下、胃酸分泌の低下、胃酸のpHが高い、小腸のアルカリ性が強い、銅の体内蓄積量、抗生物質の長期服用、胃酸を抑える薬の長期服用、避妊用ピルの長期服用、ステロイドホルモンの長期服用などがあります。

そしてカンジダ菌症の症状には下記のものがあります。

 

カンジダ菌症の症状


慢性疲労
うつ症状
不安感
倦怠感
無気力
頭痛
アレルギー
ニキビ
吹き出物
LGS
気道感染症
耳鼻感染症
低血糖症
嘔吐感
筋肉痛
二日酔い様症状
下痢
便秘
腹部膨満感
ガス
臭気過敏
記憶力低下
集中力低下
不妊
関節痛
多動注意欠陥
過敏性大腸炎
潰瘍性大腸炎
胸やけ
逆流性食道炎
慢性栄養吸収障害
肝機能障害
セリアック病
グルテン過敏症

 

カンジダ菌症の症状には本当にたくさんの問題があると思いませんか?
この他にも自己免疫性甲状腺症、多発性硬化症、SLE、リウマチに関わっていると言われています。

腸内でイースト菌、カンジダ菌が異常繁殖すると、「腸管浸漏症候群」(Leaky Gut)と呼ばれる微小穿刺が腸の内壁にでき、適切な栄養素の吸収が出来なくなるとともに、消化しきれていない食物が血液内に吸収されてしまうことになります。こうした未消化の食品粒子はここでは異物であるため、免疫系はこれを排除しようとして抗体を形成します。これが食物アレルギーや食物不耐性の原因となってしまうのです。

 

カイロプラクティックでは、カンジダ菌症がある時には、回盲弁症候群や食物アレルギーが検査で出ることも多く、回盲弁などの治療とともにカンジダ菌除菌のための食材やサプリメントのアドバイスを行います。またカンジダ菌症が重症の場合は、ナイスタチンと呼ばれる抗真菌薬を用いた除菌が必要なこともあります。

1.カイロプラクティックにおける栄養学

 

私の行っているカイロプラクティックのテクニックの一つ「アプライド・キネシオロジー」でも、栄養学は重要な位置をしめています。

よく言われているように、健康な毎日を過ごすためには「バランスのよい食生活」が大切です。肉類や魚介類、穀類のバランスも重要ですが、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを豊富に含む野菜やフルーツも適度に食べることが、健康な食生活への第一歩と言えるでしょう。

私たちが元気で生きていくためには、エネルギーを得る必要があります。ではそのエネルギーはどこからくるのでしょうか?私たちにとってのエネルギー源は、食べ物に含まれるいわゆる「三大栄養素」つまり、炭水化物、脂質、タンパク質です。私たちの身体は、食べ物を食べると、吸収しやすいようにさらに細かい物質に分解していきます。これが消化という過程ですが、これらの三大栄養素が消化され分解、吸収されると、それぞれグルコース、遊離脂肪酸、アミノ酸などの物質になります。これらが全身のひとつひとつの細胞の中にとりこまれるわけです。そして私たちはこれらの栄養素を細胞内の「ミトコンドリア」というエネルギー産生工場にほうりこんで、酸素と混ぜ合わせて燃やすことでエネルギーを得ています。

食事はカイロプラクティックにおいても重要なポイントです。何をどう食べるかが重要で、特に炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質の三大栄養素の摂取比率がとても大切です。このバランスが崩れると脂肪がたまりやすくなったり、血糖値が不安定になり、体調を崩すことにもなります。

 

そして三大栄養素、これはいわゆる人間のエネルギーになる部分、カロリーとも言えるものです。
もちろん先ほど言ったバランスも大切ですが、全体的な量が多くなりすぎても問題になります。代謝を促してくれるビタミンやミネラル(これを合わせて五大栄養素という)をバランスよく摂取することも大事なことです。ビタミンとミネラルは、人間の活動やエネルギーを代謝するのに重要な役割を果たしてくれるのです。

 

 

2.カイロプラクティックによる栄養素チェック

 

カイロプラクティックによる栄養素を評価する方法は、アプライドキネシオロジーの創始者グッドハートにより発達してきました。アプライドキネシオロジーの栄養学的検査は、その物質による味覚受容器と嗅覚受容器への刺激に対する神経システムの反応を使用しています。

 

主なテストは、患者さんに食べ物を咀嚼させたり、舌に乗せてもらうことによって行われます。この状態で筋力検査を行い、簡単にいうとその筋肉の力の入り具合でその食べ物やサプリメントの必要性や食品過敏症などをチェックしていきます。この方法では味覚による求心性の刺激と口腔の刺激による味覚受容器からの情報に対する中枢神経の解釈が、最終的に機能変化(検査では筋力低下など)を起こすことが実証されています。

臨床では、患者さんに物質を咀嚼させることですぐに身体機能の変化が観察されます。空腹で泣いている子供が口に食べ物を入れるだけで即座に泣きやんだり、低血糖症で苛立っている人でも、糖を含む食品を口に含むだけで、血糖値を上げるのには不可能な短時間で落ち着くことからもすぐに身体の変化が出ることは納得できるのではないでしょうか。

このようにアプライドキネシオロジーの栄養学的検査は、その場でその人に必要な栄養素や合わない食材などをチェックすることができるパワフルな検査法ですが、もちろん全てを示すものではありません。筋力テストに精通したアプライドキネシオロジストが行って初めて効果的な検査と言えます。また正確な判断には、一般的な栄養学的知識を熟知し、それによる考察とその他生化学検査、理学検査の結果なども加味していくことが必要です。

 

アプライド・キネシオロジーというテクニックの中では、患者さんの血糖調整能力のテストについて、砂糖で患者さんの味覚受容器を刺激することで評価することができると述べています。
いわゆるシュガーテストです。
血糖調整障害が疑われる患者さんには、このシュガーテストを行います。これは、まず正常に筋力を発揮できる筋肉を探し、その後患者さんに砂糖を少し舌の上にのせてもらった(もしくは舐めた)状態で、再度筋力検査を行い、筋力が弱化するかどうかを調べるというものです。
筋力が弱化した場合、その患者さんは砂糖に対してうまく対処ができない、もしくはその患者さんのカラダが砂糖を望んでいないということになります。
もちろん熟練されたアプライドキネシオロジストによる筋力検査でないと、正確な結果は出ませんが、この結果及び血糖調整に関わる内臓器(腺)の状態をチェックし、血糖調整障害がないか判断していきます。

 

 

3.アプライドキネシオロジーを使った治療

 

アプライド・キネシオロジー(AK)のデビッド・S・ウォルサーのお話を少ししましょう。

彼は、臨床において低血糖症を考慮し始めたことが、多くの患者さんの生活に影響を与えることになったと述べています。
デビッドは、初めの5年間の臨床では、低血糖症を認識するために充分な知識なく、低血糖症の患者さんを検出することはありませんでした。しかし、1965年にAKの創始者Goodheartが相対的低血糖症についての記事を発表したことで、そのコンセプトがAKに適用されるようになりました。
その後デビッドは、通常のカイロプラクティック治療に反応しない15人の患者さんに相対的低血糖症の可能性があることを発見しました。またこれらの患者さんは1人をのぞいて6時間ブドウ糖負荷試験で陽性を示したのです。

その中の一人の患者さんのケースを・・・。
この方は貸付協会で働く38歳の女性で、彼女はここ数年間、彼の患者さんとしてカイロプラクティック治療である程度の改善を示していました。初診時では、彼女はほとんど一日中続く激しい頭痛、軽く身体を捻る動作で起こる仙腸関節(骨盤)の痛み、検査では異常を示さない全身に移動する痛みなどを持っていました。彼は、症状が移動するのは、精神的な要素が関与するのではないかと思っていたのです。

 

さて、日が変わり、彼が低血糖症に興味を持ち始めたときに、ちょうどこの女性が彼の治療院を訪れました。彼女はここ数か月間、震えがあり、午後3時頃には物事を考えることができなくなっていました。また来客と話すときに言葉をつなぎ合わせて意味が通じる文を作ることができなくなっており、その当時、彼女は身体の具合が悪くなると、特別な用事を言い訳に職場を離れ、ウォッカのダブルで作ったマティーニを飲むことで震えが止まることに気づきました。またアルコールを飲むことで、正常な思考パターンに戻ることがわかっていたので、それを繰り返していたのです。
そうこうしていくうちにマティーニを飲む回数が増えていき、彼女の問題は悪化していきました。アルコール中毒になり、コントロールが効かなくなることを考えるとパニック状態に陥るほどになってしまったのです。

そこでデビッドは、症状が現れたときはカクテルラウンジに行く代わりに、来院するように伝えました。そして症状が現れたときに血糖値試験を行うと重篤な低血糖症が明らかになったので、食事療法とアプライド・キネシオロジーによる治療をしていきました。彼女は即座に改善を示し、アルコールを必要とすることがなくなったといいます。
またこの時デビッドを驚かせたのは、仙腸関節のサブラクセーション(機能障害)の再発が止まったことでした。さらには彼女の頭痛も止まり、再発し続けて頚椎のサブラクセーションも見られることはなくなったのです。

すごいと思いませんか?

私も栄養に詳しくなり、低血糖症に関する知識が増え、臨床でもその判断ができるようになってからは、食事療法とAKによる治療を行うことでこのような体験を何度もしてきました。
要は、低血糖症により、栄養状態や身体の内分泌系のバランスが崩れて、それが仙腸関節(骨盤)はもとより、骨格全体に機能障害を起こすほど影響を及ぼしていたのです。
いくら骨格だけを治療していても再発するわけです。
またこれこそが、私が今現在、症状に対する一番の原因がなんなのかということを追及する姿勢につながっています。

 

デビットが診たもう一人の患者さんも紹介しましょう。
この方は18ヵ月前に交通事故にあった10歳の女の子でした。主訴は、毎朝激しい首の痛みと頭痛で起こされるというもの。彼女自身と家族は、この問題は交通事故が原因と思っていたのですが、実はまったく違った問題から起こっていたのです。
デビッドが調べてみると、彼女は朝食を摂らず、頻繁にお菓子を食べて空腹を満たしていたのです。そこで、血糖値検査を行ったところ、相対的低血糖症であることが確定しました。その後、食生活を大幅に変更すると、頚椎や顎関節を治療しても改善できなかった首の痛みや頭痛が改善され、再発することもなくなりました。

 

どうでしょう。
やはり原因を究明してそれに対する治療を行うことが一番の解決なのですね。

 

ちなみに低血糖症には、食事を変えることが大前提ですが、食事療法そのものだけが低血糖症に対する答えではありません。アプライド・キネシオロジーの治療法を適応するとさらに高いレベルの症状の改善が得られます。食事療法で思うほどの改善が見られない人でも、アプライド・キネシオロジーの治療をすることで大きな改善がみられることがあります。
私自身そのことは、臨床経験を通して確信しています。

AKの治療は基本的には、低血糖に関わる副腎や膵臓などの機能アップの治療や関わる骨格の治療、また内分泌系の問題のときに大きく問題があらわれる頭蓋の治療などです。
また経絡の問題についてもアプローチする場合があります。

通常、高インスリン血症による低血糖症によく検出されるような問題は、朝食の2時間後に起こる血糖値の低下です。経絡システムのエネルギー循環においてこの時間帯は、脾経(膵臓)が最も高いエネルギーを持つ午前9時~11時に相当しています。脾経は5行では甘味に関与しているのです。
おもしろいですね。また低血糖症は、副腎ストレス障害と合併していることも多いですが、副腎に関わる心包経のエネルギーが欠乏している場合は、心包経は子の関係である脾経にエネルギーを送ることが不可能になるわけです。
こういうことを考えた人がすごいと思いますが、人間の身体はいろんなところでつながりがあることがわかります。

これらの経絡のバランスを取っていくことは、血糖値調整ストレスの治療に効果的だとAKでは言われています。

副腎機能と消化器系はとても関わりがあります。また低血糖症や食物アレルギーに関しても同様です。慢性的にストレスがある状態の時には、リンパ系が萎縮します。副腎疲労に伴う免疫機能の低下と共に胸腺(免疫に関わる臓器)の機能と大きさは減少し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の症状が進行する傾向にあります。またこのような慢性的なストレスのケースでは、副腎の状態は抵抗期に入りコルチゾール産生の増加は継続します。コルチゾールとDHEA産生のためのプレグネノロン(ホルモンの一つ)が不足するまでストレスが持続する場合、コルチゾール:DHEA比の上昇が起こります。
DHEA減少は免疫システムの効力を減退させ、腸管障害を誘発させることで腸管の透過性障害と生体不全を発達させてしまうのです。

 

1.胃

胃の塩酸分泌は、食物を消化分解するのにとても重要です。塩酸バランスに問題がある時、大抵の場合は、塩酸の減少もしくは欠乏の状態のことが多いのです。人間は年齢と共に塩酸レベルが減少しますが、胃酸過多と胃酸減少の症状は、似ているところもあり、大抵病院で胃酸過剰と診断されていても実際は減少しているケースが多いのです。
副腎疲労においても、初期では胃酸の分泌が促進されることもありますが、次第に胃酸分泌は低下傾向になります。また低血糖症や食物アレルギーにおいても胃酸の分泌は低下していることが多く、それによる消化不良が起きます。
こういったケースでは、逆流性食道炎も多くみられ、食物アレルギーや低血糖症の多くで、食道括約筋や食道裂孔ヘルニアの問題が併発していることが多いのです。

 

2.膵臓

消化の過程においては、膵臓は消化酵素を生成しています。特に低血糖症のケースでは膵臓の疲弊が見られるため、膵臓酵素が欠乏しているかもしれません。膵臓酵素が欠乏していると、食後数時間でガスや下腹部の膨満感が起こることも多々あります。この場合消化酵素を必要とする場合があります。

 

3.小腸

副腎機能低下症では、腸管壁の透過性が高くなり、LGS(リーキーガット症候群)を引き起こしやすくなります。腸管の透過性が高くなると、食物アレルギーが誘発され、腸で炎症が継続します。またこういった場合、大抵、腸内細菌のバランスが崩れ、カンジダ菌などの真菌類が繁殖することでカンジダ菌症が併発することも多くあります。
また腸管がアルカリ性に偏ることで、回盲弁(小腸と大腸の間の弁)の機能も低下し、さらなる問題を引き起こします。小腸機能不全の時には回盲弁の治療を必要とすることがよくあります。

 

4.大腸

大腸は、繊維質欠乏や腸内細菌のアンバランスなど、乏しい食生活によって悪影響を受けます。特に副腎機能低下や低血糖、食物アレルギーでは消化障害が起こるため、便秘や下痢が起こりやすく、過敏性大腸炎やクローン病、潰瘍性大腸炎なども起こりやすいでしょう。