副腎機能低下症と低血糖症は併発するケースが非常に多いと言えます。これは副腎の一つの働きである「血糖値のコントロール」が関わっています。副腎は血糖値が下がり過ぎないように、ホルモンを分泌し血糖値を上げる作用を行っています。

 

副腎機能低下症があると、血糖値が下がってきても副腎の血糖値を上げる働きが十分ではないので、低血糖に陥りやすくなります。それを考えると、長期的なストレスや過度のストレスが背景にあり、副腎機能低下から低血糖症が引き起こされることもよくあります。
逆に、副腎機能低下が、大量の精製炭水化物の摂取による血糖調整ストレスによって2次的に発生する可能性もあります。血糖値が急激に上昇する場合、通常インスリンの過剰反応が起こり、血糖値が低下し、更に血糖値を上昇させるために糖質コルチコイドが必要になります。これによって副腎に過剰にストレスを加わることとなり、それが続くと最終的に副腎の枯渇を招くことになってしまうのですね。

 

糖質コルチコイドというホルモンは、副腎で作られ、血糖をコントロールしています。
食事を摂取した後、血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが放出されます。糖質コルチコイドは前述したように血糖値が急降下しないように放出されます。
たとえば、炭水化物の過剰摂取により血糖値が急上昇すると膵臓が過剰に働くことになりますよね。そしてそれが続くと食事に対して過剰反応するようになり、将来的にはインスリンの過剰生産(高インスリン血症)を招いてしまいます。
こうなると膵臓は疲労し、行き着くところは糖尿病です。
この時期になるともちろん副腎の血糖コントロールにも急速的な反応が必要となり、次第に副腎も疲労してきます。この流れが起きる原因はまさに、低血糖症が起こる機序と一緒で、精製された炭水化物や糖質の大量かつ持続的な摂取なのです。

 

低血糖症は、インスリンの過剰分泌か、糖質コルチコイドの不足により進行してしまうと言えます。副腎が反応できないくらい低血糖症が進むと、大抵の人が甘い物を食べたくてたまらないと訴えるようになります。もちろん甘い物を食べると症状が一時的に改善しますが、膵臓と副腎がさらに疲労し、状況は悪化してしまうのです。

 

このように、副腎機能低下と低血糖症は併発しやすく、どちらかの問題はもう片方を引き起こしやすいと言えます。またその中心にあるのが副腎という臓器なのです。