現代病の原因は、文明化された食事
昨今、世界では10年で糖尿病患者が3倍に増加し、循環器系の病気にかかる人も多くなりました。
また子供たちにはいままで見られなかった皮膚病やアレルギーが増えています。
こういった病気の山を築いた張本人は、実は「文明化した食事」だと言われています。
北極圏に住むイヌイット(エスキモー)の例をあげてみましょう。
アラスカやグリーンランドのイヌイットたちは、18世紀の終わり頃から欧米人と接触がありました。しかし、カナダのイヌイット、中でも内陸部に住む種族は、1940代まで外部との交流はなかったと言われます。
これらの地域のイヌイットの生活が劇的に変化したのは、1950年代の中頃、カナダの北欧圏地域に軍事や民間の飛行場、レーダー基地の建設が始まったのがキッカケでした。
オットー・ジェイファー医学博士によると、以前の遊牧生活を続けているイヌイットの家族は、1971年にはカナダ北部全体で少数しか残っていなかったと言います。1世代もたたないうちにイヌイットのほぼ全人口が伝統的な生活を投げ捨て、20世紀中盤の近代的生活に衣替えしてしまったのです。
1950年以前、カナダのイヌイットは獲物を求めて、季節とともに移動しながら、集団の狩猟キャンプで暮らしていました。家は動物の皮や厚い布地でつくられたもので、食事の中の主要なタンパク源は、魚、カリブー(北米にいるトナカイ風の大鹿)、鶏、じゃこう牛、シロクマ、ウサギ、キツネなどでした。また野菜の摂取は全体的に少なめで、手に入る季節にだけ、にんじん、葉野菜、ベリー類などを食べていたのです。
それが、今では滑走路や軍事施設沿いの住宅に住み、食品や服はお店で購入します。そして男性は基地で働き、3食ともレストランで食べる生活になりました。
もちろん彼らのお腹はもちろんみるみるうちに出っ張り出しました。
女性も、根菜や海草、ベリーを探してまわったり、獣の皮を噛むことはなくなり、一日中家にいて、チョコレートや砂糖たっぷりのジュースを飲んでいます。
食事が変わると、まずタンパク質の摂取量は、以前の半分以下に落ちてしまいました。かつては1日300gを軽く超えていたのに、今では100g前後です。そしてその代わりに摂取カロリーの半分が炭水化物から摂られるようになりました。
特に一番問題になったのは、炭水化物の量ではなく質でしょう。
かつて摂られていたのは、ほとんど精製も加工もされていない自然な炭水化物でしたが、今では高度に精製、加工された炭水化物や白砂糖をたっぷり摂るようになりました。イヌイットの砂糖摂取量は10年間で4倍にも増えたそう。また複合炭水化物(野菜、豆、未精製の穀類など)が炭水化物全体に占める割合は、かつては82%でしたが、今では欧米諸国と同じ50%以下になっているそうです。
こういった精製された炭水化物の摂取量増加により、イヌイットには糖尿病が急増しました。
綿密に調査すると、多量の砂糖を摂取したイヌイットは、血糖値が著しく変動し、極端な上がり下がりを繰り返していたそうです。それは彼ら自身も彼らの先祖も、一度に大量の砂糖が入ってくる食事など経験したことなかったわけなので、当然と言えば当然ですよね。身体がうまく対応出来ないのです。
こうやってイヌイットの部族では、わずか10年ほどのうちに糖尿病が3倍に増え、40歳代以上の男性が循環器系疾患にかかる確率は5倍に跳ね上がりました。
またかつてイヌイット達には無縁だった胆嚢の手術が、今では日常茶飯時になりました。
そしてかつては名前すら知られていなかった「にきび」が若者に増えたのだそう。
それ以外にもイヌイットの子供達の成長は、以前に比べると不自然なほどに進んでいると言います。身長は高くなり、体重も増え、思春期の訪れる年齢も早まってきています。
食事が変わったことによって、新しい病気が現れるということは、実は北極圏のイヌイットに限った問題ではありません。自然で伝統的な食事が文明食にすり替えられるにつれて、世界のいたるところで同様の現象が起きているのです。
伝統的な食習慣が崩壊するキッカケは、大抵の場合は砂糖の摂取の増加や、穀類の精製度が関わっている場合が多いのですが、もちろん他の要素もあるでしょう。
しかし、食事がこれだけの影響を与えるということは、私達もしっかりと歴史から学ばなければならないことだと思います。
今の食生活を、少しでも変えれると将来の病気が予防出来るかもしれません。
砂糖や精製された小麦粉などをなるべく摂らないようにしたり、新鮮な果物や野菜、穀類をなるべく自然なままで食べる、そして合成添加物を使ったものは食べないなど、昔の食事に少しずつでも近づけてあげましょう。
こうした毎日の少しずつの変化でも身体は変わってきます^^。
みなさんも是非、食への意識を変えてみましょう!
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