トリガーポイントによる頭痛
前回は、頚椎の関節機能障害に起因する頭痛についてお話しました。
たしかに大部分の頚性頭痛は、頚椎の関節機能障害(動きの悪さ)が関わっていますが、関節がハイパーモビリティー(動きが過剰)あるいは可動性が正常のときに、筋の過緊張が原因で発症する場合もあります。
緊張性頭痛は、慢性頭痛の90%を占めると言われており、頚部の筋肉の緊張、または筋緊張による大後頭神経(後頭部の神経)圧迫によって、重い締め付けられる頭痛が起こるのが特徴です。
多くの場合、ストレスや肩こりによって起こると言われていますが、食物アレルギー、低血糖によっても起こりえるとも言えます。
筋緊張性頭痛の場合は、その筋の過緊張が、「原発性である」のかそれとも「頚椎関節に起因する続発性である」のかは重要なファクターです。
原発性の筋過緊張は、通常、急性の外傷による筋挫傷または、慢性的な姿勢による筋挫傷が原因になります。そして急性筋挫傷の結果として発症する頭痛でもっともみられるのは「むち打ち」損傷です。
この急性筋挫傷では、頭蓋骨に接合する筋膜(筋肉を覆う膜)への刺激だけでなく、背骨に関わる筋肉の炎症を伴い過緊張を引き起こします。また神経は、こうした刺激を受けた組織で圧迫・絞扼されてしまうのです。
一方、職業上のストレスで悪化する慢性姿勢挫傷は、頚椎前彎(頚椎のカーブ)減少がみられ、頭を突き出したような前かがみの姿勢をとる人に頻繁に発症します。
姿勢により筋肉は頻繁に静的負荷を受け、腕を繰り返し使用する間、持続的に筋肉は収縮状態を保つことになり、終いには筋挫傷(筋肉の損傷)を起こしてしまうのです。
デスクワークの人や流れ作業の仕事の人などの多くはこういう姿勢をとっていることが多いのではないでしょうか。
そして悪姿勢によって慢性的に伸ばされているような筋肉(首〜背部の筋肉)には、低レベルの過緊張と、今日のテーマでもあるトリガーポイントを発生しやすくなります。
トリガーポイント(Trp)とはその名の通り、疼痛の引き金となる圧痛点で、筋繊維の緊張帯にできる関連痛を伴う硬結(触知できる硬い領域)のことです。Trpが出来るとその関連部位(離れた箇所にもある)に疼痛を引き起こすことになります。
首の筋肉にできたトリガーポイントは筋の特異的なパターンに従って、頭部に疼痛を起こすことがよくあります。
その結果起きる頭痛は、単純にトリガーポイントに起因する疼痛か、同時に起きる神経血管への圧迫や絞扼が原因になっているかもしれません。
筋緊張性頭痛の中でも、このトリガーポイントの関連痛による頭痛が出ている方が非常に多くみられます。
トリガーポイントは、発症した筋肉に対してストレッチを行い、Trpに押圧することによって治療していきます。
治療自体はそんなに難しくないのですが、トリガーポイントの存在や各筋肉の関連痛の範囲を知っているドクターでないと治療はできません。
カイロプラクターはもちろんTrpに対する知識を持ち合わせています。
筋肉の過緊張が原因となっている頭痛の多くにトリガーポイントが存在するので、思い当たりのある人はしっかりとした知識のあるカイロプラクターに診てもらうのが良いでしょう。
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