糖代謝を促進する補酵素「α-リポ酸」

α-リポ酸(Alpha-Lipoic Acid:ALA)

今日は、先日患者さんからリクエストがあったので、「α-リポ酸(ALA)」について少し話してみようと思います。

α-リポ酸(ALA)は、人間の体内にも存在する、ビタミンに似た働きをする物質の1つです。
別名をチオクト酸とも呼びます。
α-リポ酸は2つの硫黄イオンを持った物質で、人間の体内では酵素を補う働きを持った機能性成分で、もともと病院やクリニックで解毒や肝障害を改善する医薬品としてのみ用いられてきましたが、2004年の食薬区分の改正によって食品として認可され、サプリメントにも使用出来るようになりました。

 

 

α-リポ酸は糖代謝を促進してくれる強い味方

α-リポ酸の体内での働きは、糖の分解を助けたり、エネルギーを酸性する際の補酵素的な役割を担ったり、強力な抗酸化作用を持つことでも知られています。

糖質、炭水化物、脂肪酸、タンパク質、アミノ酸の代謝
解毒作用
コレステロール抑制
強力な抗酸化作用
エネルギー酸性

この中でも特に注目したいのが、糖の代謝作用です。
この作用はみなさんもご存知の膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンに匹敵する程とも言われています。
5年前にアメリカで行われた研究では、α-リポ酸が糖代謝を促進するとともに、インスリンに対する感受性をも向上させる作用があり、結果として血糖値を下げる効果があることを発表しています。

またすごいのは糖化を抑制する効果もあるということです。
糖化とは、糖がたんぱく質(アミノ酸)と反応(メイラード反応)して起こるものですが、これが体内で起こることによって、細胞に様々な影響をもたらすことになります。たとえば糖尿病における手足のシビレや眼底出血等も糖化のなれの果てと言えるでしょう。血糖が高いと余った糖分が身体のタンパク質と糖化反応を起こします。それが皮膚で起これば、皮膚のシワや弾力の低下につながり、血管が糖化によって濁ってくれば、白内障なども起こりえるわけです。
末梢神経が働かなくなったり、細胞壁がダメになったり、血管が詰まったり、歯槽膿漏、朝勃起しなくなる、白内障、皮膚のシワ、弾力の低下・・・などがこの糖化によって作られているものだとすれば、いかに体内で糖化を促進させないようにするかが、生活習慣病や老化の予防につながるということが理解できるのではないでしょうか?

α-リポ酸によってインスリンの感受性が向上して、糖分の代謝が高くなれば、余計な糖化反応も起きず、糖化産物であるAGEsも抑制してくれます。
こういったことから血糖の高い人には有効な機能成分として有名なわけですね^^。

 

またこのことは脂肪の蓄積もコントロールしてくれる可能性があることにもつながります。
α-リポ酸がインスリンの感受性を高める作用があるので、少ないインスリンでも血液中を流れる糖分の細胞への取り込みを促進してくれます。これは血糖値が高い人だけではなく、肥満の人に対しても有効で、肥満を予防改善してくれる作用が報告されています。ある発表では、α-リポ酸は脳内に存在する食欲のコントロールに関わるホルモンに作用して食欲を抑えてくれるとまで言われています。
こうなると、肥満気味の人や血糖値が高い人には強い味方ですね。

 

 

強力な抗酸化作用

α-リポ酸には、老化や病気の原因となる細胞の酸化障害を防ぐ効果があり、ダイエットやアンチエイジングの助けになるとされ、根強い人気があります。
また数ある抗酸化物質の中でも特に重要とされ、実は抗酸化作用では有名なビタミンCやビタミンEなどを上回る程の抗酸化作用があるだけでなく、ビタミンCやビタミンEが酸化してしまうのを防いでくれます。α-リポ酸は同じネットワーク系抗酸化物質であるビタミンC、ビタミンE、グルタチオン、コエンザイムQ10などと作用し合うことでより威力を発するのですね。

このネットワークにおけるα−リポ酸の特徴は主に4つあります。
1つには水だけでなく、脂質にも馴染む物質で細胞膜脂肪質でバリアされた細胞の内外に分布出来る唯一の抗酸化物質なのです。ビタミンCやビタミンEを初めとする抗酸化物質は、水溶性か脂溶性にわかれてしまうので、どちらの性質も持っているα-リポ酸はとても便利な物質なのです。
2つには、他の抗酸化物質が酸化した場合にもそれらを再生させる能力があるということです。これは先程も少し触れましたね。
3つには、α-リポ酸自身が酸化した場合にも自己再生能力があることです。
最後の4つには、最強の抗酸化物質と言われる「グルタチオン」を増加してくれる働きがあるということです。

こう考えるとα-リポ酸が抗酸化ネットワークの中で効率良く機能してくれれば、身体の酸化を強力に防いでくれることがわかりますね^^。

 

 

α-リポ酸の2つのタイプ

α-リポ酸には左右対称で、RとSというタイプがあります。
Sタイプだと体内でビタミンB6とマグネシウムを使って変換する手間があるので、R-ALAがオススメです。
またインスリン抵抗性を改善する能力はR-ALAの方が強いとされています。

食べ物では、α-リポ酸を含むものとして「ブロッコリー」があります。
ブロッコリーは、本当に栄養豊富で生活習慣病予防の強い味方になってくれる野菜ですね!
ただ、α-リポ酸を摂るのなら、ブロッコリーを熱しないでください。α-リポ酸は熱に本当に弱くて、熱するとなくなってしまうのです。
日本人はブロッコリーを生で食べるのには慣れていませんが、α-リポ酸を意識するなら、生かジュースで摂ることが良いでしょう。

他には、ほうれん草や、お米の胚芽、牛の臓器類に含まれていますが、ブロッコリーも含めてα-リポ酸は食品に含まれる量が少ないため、ある程度の効果を期待するのであればサプリメントを利用するのが合理的です^^。
体内でもわずかに合成されますが、中高年だとさらに合成量が減るので、必然的に不足しやすくなっています。
α-リポ酸については食事と同時に摂取すると吸収率が低下するので、食事の30分前に摂ることをオススメします。

うちのクリニックでも血糖値の高い方や、肥満傾向がある方、その他インスリン抵抗性を持った方の血糖コントロールの改善でよく使用しているサプリメントでもあります。
他にエネルギー生産能力が低下しているような方にも使ってもらう場合もあります。

 

いかがでしたか?
たまにはこういう風にある栄養素について深く掘り下げてみるのも良いですね!
また書きますね^^。
では。

 

 

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