日本人の7割~8割は胃酸分泌が少ない
普段、生活の中で胃酸を意識するということは、まったくないと思いますが・・・
今日はその胃酸に少し注目してもらいたいと思います!
胃酸分泌が少ないことが、多くの病気の引き金になる。そんな大事な話でもあります。
胃酸は消化過程に不可欠なものです。胃酸の消化過程がなければ、栄養素の吸収はおおいに減少し、消化不良と吸収障害を起こしてしまう上、病気の危険性が高まるとも言えます。みなさんは常識の中で、「胃酸が多くなるから胃が痛くなる」、「胃酸は少ない方が良い」と考えている方が多いのではないでしょうか。
それは実は大きな間違いです。
医学の本「The Pharmacological Basis of Therapeutics」によれば、一般人の10~15%は胃液の分泌十分でないといいます。また健康状態を崩している人に限れば、不足の割合はもっと高くなるでしょう。
この胃酸というものは、実は非常に分泌されにくいものです。個人差がありますが、民族学的に日本人は胃酸の分泌が少ない民族だと言われています。これについては、刺身だとかの生の魚を食べるというような食事行動を古くからずっと続けてきたからかもしれません。
日本人ではおよそ7割~8割が胃酸の分泌が少ないと言われています。日本人の胃腸が弱い原因が少しわかる気がしますね。
胃酸の分泌を妨げる要因は、ストレスや病気、加齢などが大きく関わっていますが、様々な病気や身体の問が、胃酸のレベルが低い(低酸症)か酸の欠乏状態(無酸症or胃酸欠乏)から引き起こされていると言っても過言ではないでしょう。
これは、胃酸分泌の低下による栄養素の吸収不良(カルシウムや亜鉛、鉄、ビタミンB12、たんぱく質)の結果によって起こると言えます。胃酸の低下により、栄養吸収が制限されてしまうのです。
例えば、胃酸が胃を刺激することで、膵臓酵素やその他の消化酵素が小腸に出ますが、適当な胃酸がなければ小腸の機能が正常に働くことは困難になってしまいます。これにより栄養吸収が低下してしまうほかに、胃酸の酸と結びつくことによって吸収される栄養素も多々あるので、胃酸の低下により栄養吸収不良が起こることはおおいにあり得る話なのです。
胃酸分泌低下と関わりのある症状
糖尿病
甲状腺機能異常
小児喘息
慢性の発疹
湿疹
胆のう炎
骨粗鬆症
リウマチ性関節炎
副腎皮質の虚弱化
慢性肝炎
白斑
大半の腸の問題
食後膨満感
貧血
アレルギー
便秘
下痢
不眠
かなりたくさんの症状が関わっていることにみなさん驚かれるのではないでしょうか?
その他、爪が弱かったり、割れやすかったり、女性の場合なら髪の毛が抜けやすかったりも胃液不足のサインになります。また胃液不足の人は、大抵の場合、腹部の上方にガスがたまりやすく、のどや鼻の毛細血管の膨張も胃液の不足と関わっていることが多いとされています。胃酸分泌低下により、様々な腸管の問題が起こる可能性もあります。
また胃酸が少ない状態だと、胃にバクテリア、ウイルス、寄生虫、イースト菌や真菌類などが住める環境になってしまうことも大きな問題でしょう。
胃酸はこれらの有機体に対する殺菌・防御の役割があり、通常ではこれらの有機体が存在することはありません。
そしてさらには低い胃酸状態にある人は、リウマチ性関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化やカンジダ菌などの伝染病を持っている可能性が高くなります。
一体どれだけの病気が胃酸分泌と関わっていることでしょう・・・。
こう考えていくと・・・
制酸剤を用いることは消化と吸収には逆効果になる恐れがあることは、少し見えてきたのではないでしょうか。
特に胃酸不足をすでに持っている人では、胃酸を中和するために薬剤を使用したりすることは、胃酸機能を低下させ、消化栄養吸収に問題を起こしかねません。
今の人達は、胃炎というとすぐ薬を飲みます。
薬を使うと胃液を少なくすることで、後に消化に重要なペプシンという酵素の分泌も少なくしてしまいます。
今度は逆に胃もたれが起こってしまうとも言えるのです。
カイロプラクティックでは
アプライドキネシオロジーでは、両側の大胸筋(胸の筋肉)の筋力低下が塩酸酸性障害と関連していると述べています。私もよく臨床でこの胸の筋肉(大胸筋鎖骨部)はチェックするのですが、これが胃の塩酸酸性低下または全身性の塩酸欠乏などによる低酸症・無酸症と関わっているのです。
また両側の大胸筋の弱化(塩酸産生障害)がみられる時、多くの場合で特有の頭蓋障害が検出されます。これは側頭骨という頭のサイドの骨の動きに関わる問題です。頭蓋障害は、内臓系の問題、とくに内分泌系の問題には大きく関わっています。私も塩酸産生障害がある患者さんには、必ず頭蓋骨の状態をチェックし、側頭骨の治療をしっかりするようにしています。
このようにカイロプラクティックでは、胃酸産生に関わる頭蓋障害の調整、また顎口腔システム、骨盤などの関連部位を治療することで根本的な治療をすることが可能でもあります。もちろん胃酸低下による症状が重篤な合、重度の吸収不良症候群や自分自身で胃酸を産生できないような場合(とくに高齢者)には、塩酸サプリメントで胃酸を補うこともあります。
とにかく胃酸分泌は様々な病気の元になっている可能性があるので、私は一番と言ってもよいほどそれに対する治療を優先しています。
胃酸の分泌が気になる方は、半分に切ったレモンを絞ってそれを水で薄めたものを用意しましょう。そして、食事の時に一口食べては、レモン水を飲むといったように酸を補ってみてください。
もしこれでいつもより食後のお腹がスッキリした感じがあったり、次の日の便の調子が良かったりしたら、あなたの胃酸は少ないことが考えられます。
こういったレモンを使って胃酸を補うことや消化酵素がたっぷりの大根おろしを付け合わせで食べることもみなさんの消化を助けてくれます。油っこいお魚を食べる時などにはこういったものをかけるのは昔ながらの知恵なのかもしれないですね^^。
また小さい頃よく母親に言われた覚えがある方もいらっしゃると思いますが「よく噛んで食べる!」ということは何よりも重要なことです。良く噛めば唾液が出て、胃が食べ物の消化の準備を始めます。また、胃酸がしっかり出るとそれに促されて膵臓や胆嚢から消化酵素も出てくるので、よく噛むことは本当に大事だと言えます。みなさんも今日は是非!
いつもの倍以上噛むように意識してご飯を食べてみてください。
いつもと違う身体の調子やお腹の状態が感じられるかもしれませんよ ^^。
テレビや雑誌、携帯などを見ながらの食事はせずに、しっかりと食事に集中し、家族との会話を楽しみながら、ご飯を食べる。
基本的なことですが、こういったことがもしかしたら、健康の基本なのかもしれません^^。
★栄養について興味のある方は★
Think Healthへ